〜夏を健やかに過ごすための食事管理〜
いつも当施設の運営に温かいご理解とご協力を賜り、誠にありがとうございます。
ほっと倶楽部では、8月も入所者様の健康と楽しみを第一に考えた、季節感あふれるお食事をご提供いたします。
夏場は高温多湿により体温調節機能が酷使され、食欲が低下しやすい時期です。
食事量が減ると、タンパク質・ビタミン・ミネラルの摂取不足から、免疫力や筋力の低下につながる恐れがあります。
そこで当施設では、以下のポイントに重点を置いた献立を心がけています。
◆ 夏場の栄養不足は健康リスクに直結
厚生労働省の報告(「国民健康・栄養調査」)によると、
高齢者の約3割がエネルギー・たんぱく質摂取量不足の傾向にあります。
特に夏場は食欲低下から摂取量がさらに減りやすく、
サルコペニア(加齢に伴う筋肉量・筋力低下)やフレイル(虚弱)の進行リスクが高まります。
◆ 筋力維持のためのたんぱく質強化
国際的な老年医学のガイドライン(ESPEN 2019)では、高齢者には体重1kgあたり1.0〜1.2g/日のたんぱく質摂取が推奨されています。
当施設ではこれに沿い、鶏肉・豚肉・魚などを主菜に据え、1日を通して約60〜70g程度のたんぱく質を摂取できるよう調整しています。
◆ 夏野菜の抗酸化ビタミンで免疫力維持
ナスやピーマン、南瓜などの夏野菜にはビタミンA(β-カロテン)、ビタミンC、ビタミンEが豊富に含まれます。
これらは「ビタミンACE(エース)」とも呼ばれ、細胞の酸化を防ぎ免疫細胞の働きを支えます。
実際に、ビタミンCは1日100mg程度で白血球の機能が正常に維持されると報告されており(日本人の食事摂取基準2020)、
これを日々の献立で自然に摂取できるよう工夫しています。
◆ 脱水・熱中症予防の水分・電解質設計
高齢者は加齢により喉の渇きを感じにくくなるため、自覚がないまま脱水に陥るリスクがあります。
そのため毎食の汁物や冷やしそうめん、冷やし中華などで自然に水分とナトリウムを補給できる献立を設定。
加えて味噌汁や漬物には適度な塩分が含まれ、発汗によるナトリウム喪失を補います。
◆ 消化促進・食欲増進の香味野菜
生姜や青ネギはジンゲロールやアリシンなどの成分を含み、消化液の分泌を促進することで食欲をサポートします。
これにより消化器への負担を軽減しながら、食べる楽しみを引き出す工夫をしています。


これからも、入所者様お一人おひとりの健康状態を把握し、安全で楽しい食生活を支えてまいります。
引き続き、変わらぬご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。